ホームエレベーターのある暮らし

永続性の高い、ゆとりある生活を考えた賃貸併用住宅の提案です。
Chapter 1

高まる賃貸併用住宅へのニーズと不安

日本人の平均寿命は年々伸び、厚生労働省によると平成26年の日本人の平均寿命は、男性が80.50歳、女性が86.83歳で厚生労働省が調査した中では、日本は男性、女性とも世界のトップクラスとなっています。そこで考えたいのが定年後の暮らしのこと。

  • 加齢とともに確実に老化していく体に合わせて、生活環境をバリアフリーにしたい。
  • 定年後も収入面でゆとりある生活を送りたい。

そんなニーズから、シニア世代の土地所有者から賃貸併用住宅への建て替えが、現在注目を集めています。

メリット
  • 子供も巣立ち、シニア夫婦二人で持て余していた自宅敷地を有効活用し、自宅部分を管理しやすくコンパクトに建て替えられる
  • 所有の土地を賃貸物件にすることで家賃収入を見込め、住宅ローンを軽減できる
課 題
  • 長年住んでいた土地は変わらなくても、賃貸物件に建て替え、所有者世帯にありがちな上層階へ住むことにより、これまで暮らしていた地域のコミュニティから孤立したように感じられる方が多いようです。
  • 想定した家賃収入が得られない点が、賃貸経営をする多くの方々が心配されることです。入居率を上げて安定した家賃収入を得ることが、賃貸経営の大きなポイントとなります。

調べてみよう!賃貸住宅・マンション事情

賃貸住宅・マンションの市場を調べてみました
  • 現在も毎年約30万戸以上の賃貸物件が建ち続けています
  • 少子化の影響もあり空室率の平均が18%を超えているという数字もあります
  • つまり5部屋に1部屋が空いているという現状のようです

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Chapter 2

魅力的な賃貸併用住宅スタイルについて

シニア夫婦の所有する敷地の有効活用を考えて店舗・賃貸併用4階建て住宅を計画してみる

今回のプランニングは、やや広めの土地を所有する70代の方が、ゆとりある生活を叶えるために、自宅を賃貸併用型の住宅に建替えるケースです。
1階部分はテナントスペースとして活用。居住者や近隣住民にとって利便性の高いテナントを誘致することで高付加価値が生まれ、賃料収入のアップも見込まれます。
この建築プランは、建築費など投資額に対する利回りや相続対策が重要な前提ですが、建築家の立場からこのような店舗・賃貸併用の住宅スタイルをより魅力的にするために大切なことは何かを考えてみました。

  • 4Fシニア夫妻の生活フロア
  • 3F賃貸フロア:3室
  • 2F賃貸店舗フロア:賃貸2室・店舗1室
  • 1F店舗フロア:2室
物件概要(想定)
  • 敷地面積:250m²
  • 建物床面積:180m²×4フロア
  • 建ぺい率/容積率:80%/400%

※店舗1室は1階・2階のメゾネットタイプ

計画ポイント

住まう人にやさしい計画

急速なスピードで超高齢化へと進んでいる社会にあって、高齢者の立場で住まい造りを考えることは、あらゆる世代に通用する住みやすい住居になっていくと考えています。そして、これからの住居は、建替えやリフォームがなるべく少なくてすむものにしていくことが大切です。
シニアの方が、快適にいつまでも暮らせる設計を考えることが、そんな住まいづくりに近づいていくと思っています。

永く愛される計画

コストや効率だけでなく、商用・賃貸契約者にどれだけ魅力的な空間を提供できるのか。長期安定経営のためにはそんな視点も大切になると考えています。
不動産関係者によると、勝ち組と言われる賃貸住宅は、回転率の悪い住宅だそうです。入居いただいた方に永く住んでいただければ、維持管理コストは低く抑えられ、逆に頻繁に入退去があると、その都度、修繕やメンテナンスが必要になるばかりか、入居者を募集する広告などの経費もかさんでくるからです。

地域社会とつながる計画

商用スペースを計画する場合、その地域の社会ニーズは何か。保育施設が不足している、コミュニティスペースが少ないなど、その地域に役立てるものを念頭に置くことが重要です。
人が集まれるスペースになれば、シニア世代にとっても地域社会とつながるきっかけが生まれます。また、人の目線があれば犯罪の抑止効果も高まり、安心して暮らせる環境にもなると考えています。

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Chapter 3

オオカワ設計事務所が考える
ゆとりと永続性の両立

賃貸住宅で安定した収入を継続していくためには、テナントをご利用される方やご入居される方を長くひきつける魅力ある空間構成や入居者の幅を広げる利用価値の高い提案を計画していくことが大切だと考えています。
今回魅力ある空間構成や利用価値を高める参考として、エレベーターを2基採用したプランをご提案させていただきました。

おすすめプラン
設計アドバイザー
オオカワ建築設計室
一級建築士
大川 三枝子Mieko Ohkawa

提案1

シニアの方が快適に暮らせる環境をつくる
専用エレベーターの設置

オーナーご夫妻には、環境の良い最上階の4階に住んでいただく計画とし、テナント、賃貸入居者に気兼ねすることがないよう、専用のホームエレベーターを設置します。
専用エレベーターがあれば、ペットを伴っての利用や近隣の友人を招くことなど、日々の活動や交流を制限することもありません。 入居者とオーナーの生活導線の完全分離は、プライバシーの確保につながるため、入居者側からも重視されるポイントの一つです。

提案2

テナントさま、ご入居さまにとって
魅力的な空間を提供し差別化

テナントは、立地・広さ・賃料で比較される箱貸し、スペース売りを避けた空間構成にしています。
1つはウッドデッキのある空間、そしてもう一つは、1階と2階を利用できるメゾネットタイプ。保育施設やネイルサロンなど地域社会が必要とする店舗づくりに結びつくように考えました。
また2階・3階には、若い世代のDINKSをターゲットとした50m²前後のゆとりある1LDKタイプを5室設定。スペースの余裕が、生活スタイルの変化にスムーズに対応できると考えます。
賃貸フロアには多世帯が利用できる共同住宅用のエレベーター「Rメート」を採用しました。

モデルプランのユーザープロフィール

  • 東京都世田谷区に住み、駅からは徒歩12~13分。所有する土地面積約250m²。
  • ご主人(70代前半)元サラリーマン・趣味はゴルフ
  • 奥さま(60代後半)専業主婦・趣味は編物・ガーデニング
  • バスの便がよく、駅までは自転車を使う人も多い。近くに遊歩道、公園があり犬を飼う世帯が多いエリア。
家族構成:シニアご夫妻にはお二人のお子様がいます
長男(40代)
  • 妻と子ども二人の4人家族で都内のマンション(持家)に暮らす
  • 開発者で国内外への出張が多い
  • 子どもは高校生と中学生
長女(30代後半)
  • 夫と幼稚園の年長組の子ども一人の3人家族で現在賃貸マンション住まい
  • 出産を機に専業主婦
  • 将来世田谷の両親の家に同居する予定

将来的に長女家族が同居した際は、一階のテナントの一部は地域とのコミュニケーションを図れるようドッグカフェ・フラワーショップ等を経営する予定です

  • 1F
  • 2F
  • 3F
  • 4F
  • RF
  • 【1F面積】テナント1:79.49m² テナント2:59.62m²
  • 【オーナーエントランス】オーナーエントランスと賃貸入居者用のエントランスが分かれているので、オーナーさまはホームエレベーターで4階までストレートに移動することができます。
  • 【入居者共用部】入居者が上下階の移動をストレスなくできるように、主動線のエレベーターと、副動線の共用階段を並べてレイアウトしました。
  • 【テナント1】テナント1は、道路面に大きく開いたテラススペースのある明るい空間です。オーナーさまは地域への愛着を深く持っている方ですから、地域の皆さまの交流拠点となるようなカフェや保育施設などをイメージしながら設計しました。まるでわが家にいるような居心地、ご利用いただく地域の皆さまに幸せな気分を感じていただけるといいなと思います。広さはゆったりと、約80m²のテナントスペースです。
  • 【テナント2】テナント2は、1階と2階をご利用いただけるメゾネットタイプです。1階と2階を合わせて約120m²(36坪ほど)の広さですが、ネイルサロンやカットサロンなど、受付や店舗、倉庫や事務所を必要とするようなビジネスにも合うように設計しました。
    このプランを描いていて、オーナーさまの地域への愛着や、駅から少し離れた住宅エリアにある立地などから、もしかしたら「手づくりの焼きたてパン屋さん」みたいな店子さんに入っていただけたら、地域の皆さまに愛されるような場所になるのかも知れない、そんな想いも浮かんできました。
  • 1F
  • 2F
  • 3F
  • 4F
  • RF
  • 【2F・3F面積】賃貸1:48m² 賃貸2:55m² 賃貸3:59.62m² テナント2:59.62m²
  • 【共用部】この賃貸プランは3階建ですが、入居者用のエレベーターを設けています。エレベーターがあれば、人や物の移動もスムーズになり上下階の移動のストレスを軽減することができます。
    週刊全国賃貸住宅新聞社が発表した「入居者に人気の設備ランキング2015」によると部屋探しに「必要」と考える設備は、1位が独立洗面台、2位がTVモニター付きインターフォン、そして洗浄機能付き便座(トイレ)、エントランスのオートロック、インターネット無料と続きますが、8位にエレベーターがランキングされています。
    エレベーターは、もっと上位にランクインしてもおかしくないさまざまなメリットがありますが、エレベーターのついた賃貸住宅の絶対数がまだ少ないこともあり、選択肢に入っていない回答者も多く含まれていると思います。しかし、入居判断の決め手の1つとするエレベーターは、これからの賃貸経営にとってたいせつな差別化のポイントになるのではないでしょうか。
  • 【賃貸1】ながく住んでいただくほど、安定した経営ができる賃貸住宅ですから、入居者に、この空間が好きと感じていただくことも大切なポイントになってきます。このプランは、約48m²で他のタイプに比べ少し狭いプランですが、ゆとりある玄関ホールで心地よくお出迎えしてくれるプランです。吊り戸タイプの玄関収納などと組みあわせれば、空間にさらにアクセントが生まれ、入居者にとってもお気に入りのスペースになります。
  • 【賃貸1】キッチンとダイニングテーブルの間に収納カウンターを配置して、お友だちを呼ぶプチパーティも楽しんでいただけるようにしています。カウンターを利用して料理の準備や片付けがスムーズにできる配置になっています。
    またLDKと水回りが一体になった機能的な空間構成にしました。夕食のご用意をしながら、洗濯も同時にこなしてしまう。効率のいい作業で時間を短縮し「自分時間」を大切にして欲しいと考えました。
  • 【賃貸1】寝室はコンパクトに。その分クローゼットは大きく。洋服やおしゃれ用品が増えがちなDINKSには、収納スペースも十分に確保したいものです。クローゼットがそのまま衣装ルームになるように、ハンガーパイプが付いています。
  • 【賃貸1】部屋はコンパクトでも、寝室からもLDKからもバルコニーに出られます。外とのつながりを楽しめて、狭さを感じさせない空間になっています。
  • 【賃貸2】仕事で疲れて帰ってきても、着替えがスムーズにできるように寝室とクローゼット、洗面室を玄関の近くに配置しました。もちろん朝の身支度もテキパキ、このような「おしゃれ動線」は、仕事が忙しいDINKSの方には必須だと考えています。
  • 【賃貸2】お客さまは居室を通らずにそのままLDKへ。移動する動線が二つあるとプライバシーもしっかり守れます。
  • 【賃貸2】仕事を持っているDINKSの方にとって、平日の共有できる時間帯は夜になってしまいます。共有時間をゆったりと暮らして欲しいと考え、少し寝室を広めに設計しています。パソコンなどを置いてもいい書斎カウンターも備えつけました。余分な家具を増やさないで、お部屋を広く使って欲しいなと思います。
  • 【賃貸3】このタイプの賃貸にはDOMA(土間)エントランスを採用したいと思います。壁面に飾り棚を付けて、作品や小物にスポットライトをあてるような照明も工夫すれば、無機質な玄関ホールが、アトリエのようなお気に入りの演出を楽しむお洒落なスペースになります。
  • 【賃貸3】エントランスを開けると、キッチンからダイニングデーブルまでがカウンターになった大胆なLDKが出現します。「食」を大切にすることは、暮らしの幸福の基点だと思います。それぞれ仕事を持っている夫婦が、二人で一緒に居る時間を大切にして欲しいなと考えました。
  • 【賃貸3】ドレッサーを兼ねる洗面室は、衛生消耗品や美容品などいろいろなものが溢れてしまう場所です。洗面室をおしゃれに使って欲しいから、タオルや着替えなどが収納できる場所を作りました。また、お風呂に入っている間に洗濯も済ましてしまう。そんなこともしやすい配置にしています。
  • 1F
  • 2F
  • 3F
  • 4F
  • RF
  • 【4F面積】188.8m²
  • 【オーナー専用部】 ガーデニングが趣味の奥様のために、ガーデニング用品を仕舞える専用の土間収納を玄関ホールにもうけています。履物はクローク収納に仕舞えますから、玄関ホールはいつも片づいた状態を保てます。
  • 愛犬家の夫妻のワンちゃんの部屋は、大きなベランダのとなりに。外が好きなワンちゃんには、部屋いても光や風がいつも感じられる場所を提供しました。
  • 近所の昔からの友だちを呼んで、楽しい時間を過ごしていただけるようキッチン・ダイニングが主役の住まいとしました。大きなダイニングテーブルを囲んで、ティータイムやパーティを楽しんでください。
  • おもてなしが続いても、いつもキッチンが片づいた状態を保てるように、沢山の食品や生活用品を仕舞えるパントリーを設けています。
  • オーナー夫妻が住む4階は、将来,長女家族が住まわれる予定になっています。オーナー夫妻、長女家族、どちらの家族構成にも対応できるように二つの居室がある2LDKのプランになっています。この書斎は、将来お孫さんのお部屋になります。
  • 南面に配置したテラスには3方に窓があります。室内に光や風をたっぷり取り込めます。
  • 眺望のよい4階スペースのいちばんよい場所をリビングにしました。テラスの窓から、南側の窓から、そして西の窓から、それぞれ趣きの違う景色が、夫婦二人の時間、ときどき遊びに来る長男家族や長女家族との楽しいひと時を豊かに彩ります。
  • オーナー夫妻のために、大きなクローゼットのある主寝室をご用意しました。洗面室やトイレも近くに配置して、暮らしやすさにも配慮しています。
  • 1F
  • 2F
  • 3F
  • 4F
  • RF
  • 【オーナー専用部】屋上には奥さまがガーデニングを楽しむ庭園をご用意しました。奥さまが育てる季節を彩る花々が、玄関ホールやリビングを華やかに演出してくれます。おもてなしのある空間が、奥さまの手で毎日をいろいろな表情を見せてくれることでしょう。

おすすめプラン設計アドバイザー

  • 大川 三枝子オオカワミエコ
  • オオカワ建築設計室/一級建築士/町田製菓専門学校 インテリア講師

建築家プロフィール

工務店(OMソーラー加盟)、町づくりの仕事を経て、(有)岡村秦之建築設計事務所/住宅、店舗の設計、工事監理に従事。2006年オオカワデザインスタジオとしてスタート。2008年より株式会社オオカワ建築設計室として活動。現在に至る。

好きなこと:珈琲をいれる行為、煮込料理、保存食、銭湯、美味しくお酒を飲むこと、じっくり且つ思い切りのよいこと、ビール

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